ホロムイソウ

  琵琶沼はひらがなの「く」の字のような形をしています。私たちは、沼の南半分を南沼、北半分を北沼と仮によんでいました。
 南沼も北沼もまわりを雑木林でおおわれていますが、南沼の近くにはキャベツ畑が耕作されています。
 琵琶沼を訪れると、四季折々の植物が私たちを出迎えてくれますが、北沼で発達しているミズゴケ湿原が、南沼ではあまり発達していないことに気がつきます。
 昔から、ミズゴケ湿原は北沼にしかなかったのでしょうか。

 美しい湿原風景が楽しめる琵琶沼ですが、琵琶沼にはかつて次のようなことがありました。

 1970年(昭和47年)、教育委員会からの派遣で、山形大学で理科の研究をしていた二人の小学校の先生がいました。武田剛先生と庄司清裕先生です。二人は、山形市の近くで、小学生に野外で理科の勉強をさせるのにいいところはないかと県民の森のあたりで探していました。
 琵琶沼では湿原の花は咲き終わっていましたが、その中に今まで見たことのない植物があることに気がつきました。その植物を、植物にくわしい結城嘉美さんにくわしく調べてもらったところ、東北地方には数カ所にしか生えていない「ホロムイソウ」であることがわかりました。
 後日、結城さん達が琵琶沼を訪れ、ホロムイソウをさらにくわしく観察しました。そのとき、ホロムイソウと同じく、大変貴重な植物である「ヒメカイウ」も発見されました。
琵琶沼は、琵琶沼でしか見られないような貴重な植物がある沼だったのです。
ヒメカイウ
このとき、武田先生たちはもう一つ、重大なことを琵琶沼で見ています。
 ミズゴケは園芸をする人たちが鉢植えなどでよくつかうものです。
琵琶沼でも、南側のミズゴケが園芸用に販売するためにはがされ、近くの雑木林の木に乾燥させるためにかけてあったそうです。
 さらに近くの畑に沼の水をくみ上げる計画も進んでいました。
山形県は、琵琶沼の自然を守るためにはゆっくりしていられないと、県の費用で琵琶沼を買い上げ、天然記念物に指定し、保存にのりだしました。

琵琶沼の北と南で様相がまったく違う背景にはこのようなことがあったのです。

前の画面にもどる